ねんどろいど改造講座の第2回です。
ねんどろいど改造の基礎知識や、道具を知りたい方は「第1回」をご参考下さいね。
さて、今回はいよいよ改造を始めていきます。
まずは資料を見て、髪パーツを削っていく
用意するのは、資料、髪パーツ、顔パーツ
まずは髪パーツを削って自分好みの形にしていきます。
削りのみで好きな形にすることは、ある程度は可能ですが、どちらかといえば「一番下の地の部分を作る」という感じです。
今回、私が使用したのはこちらのパーツです。
既にボールペンで削る部分のしるしをつけてしまっていますが…
ヤフオクでジャンク品として入手したので、どういった子なのか分からないのですが、ボーカロイドの子の髪のようです。
前髪の分かれ方がちょうど良いと思ったので、入手しました。
資料を眺めながら、ボールペンでしるしをつけたあたりを彫刻刀で削っていきます。
顔パーツは頻繁にはめこんでパーツの様子を見よう
一番大事なことは、
「資料をしっかり見ながら、少しずつ削っていく」
「顔パーツ(首パーツもつけて)は何度もはめて様子を見る」
ということです。
削り作業は単純作業で楽しめる人は楽しめるので、髪パーツだけを見ながら、どんどん削ってしまいがちなのですが、後で実際にはめ込んでみた時に「あれ…思ってたのと違う?」となりがちです。
しるしをつけたとはいえ、パーツを合わせた時に印象が違って見えるのは、立体にはよくあることなので、しつこいくらい顔パーツをはめて、様子を見て下さい。
首パーツもつけて、「実際に使用する」状態で様子を見ます。
ねんどろいどの首のジョイントは内側にはめるので、顔パーツと髪パーツだけで作業していると、最後に首パーツをはめ込んだ時に「前髪と後ろ髪の組み合わせがずれてしまう」ということが起こります。
そんな感じで、彫刻刀で削ったのがこちら。
最初の印では、向かって左側の髪の間も削って抜こうと考えていたのですが、資料を見てみて、そのままでも良い感じだったので前髪はそのままに、左側の横の髪を落としました。
あと、向かって右側も、「はるかにちゃん」は耳が出ているので、横毛の後ろ側も削って、尖った感じにしました。
最終は三つ編みをくっつけるのにちょっと長かったので、左の横の髪はスパっとカット。
写真にちょいちょい削りかすが映っていますが、これ、全部彫刻刀の大きめの丸刀で削っています。
デザインナイフみたいな尖ったやつを使いたい人が多いと思いますが、ザックリやるには丸刀の方が力も入りやすいですし、細かく削れるし、万能刀です。
ご参考までに。
ある程度は「削り過ぎてもパテを盛ればOK」と考える
様子を見ながら少しずつ削るのが基本なのですが、全体を削って落としたいとか、前髪の厚いタイプのパーツを、「前髪を全部落としてオールバックにするんじゃい!」というような、大胆な削りをする場合は、いちいちパーツを当てている時間がもったいないと思います。
あまり毛先などの成形しにくいパーツをザクザク落とすと後が大変なので、そのあたりは注意しつつ、大きく削る時は「削り過ぎてもパテで盛れば何とかなる!」という考え方も大事です。
私も三つ編みをつける部分は、後でパテ成形しようと思って、かなりザクっと落としました。後々にそこは変更することになるのですが…
大まかな形になったら、「エポキシパテ」で造形していく
「形を変える」ならエポキシパテ、表面を整えるなら「溶きパテ」
ある程度パーツを削って下地が出来たら、次にエポキシパテを盛っていきます。
ただ、元のパーツのままで綺麗な形になっているのなら、あえてエポキシパテを盛る必要はありません。
エポキシパテを盛るのは
「髪のボリュームや本数を足す」
「形を大きく変える」
など、大きな造形が必要な時です。
注意点は、パーツに貼り付ける場合は、その貼りつけ場所をなるべく荒い紙やすりなどでぐちゃぐちゃにしておきましょう。
貼り付け場所がツルツルしていると、パテが硬化した後に簡単に剥がれてしまうからです。
「表面のガタガタした部分を整えたい」
「削りで傷が出来ているので修復したい」
といった場合は、溶きパテを使いましょう。
パテの使い方
エポキシパテは、「主剤」「硬化剤」を混ぜて使用します。
コツとしては、まずは主剤と硬化剤を同じ位置に並べて、使う分量より少ないかなー?という量を、長く出したカッターナイフや長めの定規などで、同時にカットします。
そしてそれを、ヴァセリンを塗ったりゴム手袋をはめた手で、練り混ぜていきます。
私は素手で練っていますが、箱の注意書きにも「ゴム手袋をはめてね!」と書いてありますし、有機溶剤なのでアレルギー反応を起こすと取り返しがつきませんので、要注意です。
しっかり混ぜないと硬化しませんので、色がマーブルから混ざった色になるまで頑張りましょう。因みにめっちゃ固いです。気温が低いと、より固いです。
混ぜ終わったら、粘土と同じように形を作ったり、パーツに貼り付けていきましょう。
手だとそこまで綺麗には出来ませんし、素手だと指紋跡が残るのですが、あまり神経質にならなくとも「硬化後に紙やすりで削ってまっすぐにすればOK!」という感じで盛っていきます。
粘土用の道具を使ってしっかり成型される方もいらっしゃいますが、私は削る方が得意なので、自分の得意な方でやっていきましょう。
注意点としては、薄いものや上向きのものは自重で曲がってしまいますので、逆さまにして硬化させたり、補助用のプラ板(100均のクリアファイルなどで作る方が多いです)などを使って、硬化中の置き方を工夫して下さい。
補助版を使う場合は、クリアファイルにヴァセリンやリップクリームを塗っておくと、綺麗に剥がれます。
溶きパテに関しては、使う前に小瓶をしっかりを振り混ぜて、蓋を開けて筆でとって、直接パーツの傷などに塗りつけます。
どちらのパテもですが、「硬化をじっくり待つ」というのがとても大事です。
箱に書いてある硬化の目安時間は、春~夏場のさわやかで涼しくカラっとした気温での目安です。
エポキシパテは冬だと完全硬化まで、2日は余裕でかかります。
爪などで触った時に、まだ少し跡が出来るような弾力のある状態で次の「削り」の行程に入ってしまうと、成型したものがボロっと崩れることもあります。
しっかり固まるまで硬化させましょう。
「盛る」と必ず「削り」が必要になってくる
粘土造形に慣れている方は良いのですが、基本的にパテ盛りは、盛った後にはまた削りが必要です。
最初のパーツの削りのような大きな削りは、パテを盛り過ぎたり、成形に失敗した時ぐらいしか必要ありませんが、手で成型した指紋跡であったり、盛り付けたパテと元のパーツの段差であったり、パキッとした前髪が欲しいのに、粘土成型でもっさりしている…など、90%は「削り成型」が必要になってきます。
まず、パテは有機溶剤なので、削りかすを吸い込むときついので、必ずマスクをして下さい。手荒れする方やアレルギーの方は、手袋もしましょう。
作業するところもめちゃくちゃ汚れますので、新聞紙やいらない紙を敷いてまとめて捨てられるようにするか、掃除機を近くに用意しましょう。
ここで使用するのは、彫刻刀ではなく金属やすりと紙やすりです。
彫刻刀だと滑らかに削ることが出来ませんので、金属やすりと荒目の紙やすりを使用します。
注意点は、がりがりと往復させるのではなく、「一定方向だけに」何度もやすりをかけて下さい。
金属やすりはパーツのヘリや角の部分では使いやすいですが、基本は紙やすりです。
指で持てるくらいの小さいサイズに切り、ずーっと削ります。
超地味でしんどい作業です。
表面はツルツルにはならず、細かい傷がたくさんついている感じにはなりますが、あとで下地をスプレーするので大丈夫です。
削っている最中に、「何かこのへん思ったよりガタガタだな…」とか、「成型が微妙で穴が開いてる」などを見つけたら、全体を削り終わった後に溶きパテで埋めて、硬化してからまた削ります。
このあたりは「クオリティへのこだわり」になりますので、やすり作業が面倒な方は飛ばしても構いません。
ただ、仕上がりは天と地ほど開きます。
このあたりから飽きてきたりしんどさが出て来て、愛と根性が必要になってきます。
ある程度は「盛り過ぎても削ればOK」と考える
さっきと逆の話になってしまうのですが、改造はやはり「削り盛り」を繰り返すのが基本です。
削り過ぎたらパテを盛る、パテを盛り過ぎたら削る、というのが大前提です。
慣れてくるとあまりそういうことはないのですが、初心者のうちは苦労すると思います。
作りながら、遊び方を考えて作りを工夫をする
髪型が遊ぶときに邪魔になることもある
パテ盛りの続きなのですが、今回、「はるかにちゃん」はあまり大きい部分ではパテ盛りしていません。
何が必要かって、三つ編みと蟹です。
パテを練りながら、切り取った横の髪に必要そうな量を伸ばして当ててみました。
そして気付きました。
「服の種類によってはめっちゃ邪魔だこの三つ編み」
と。
稼動式パーツ・取り外しパーツの作り方
というわけで、急遽前髪パーツにパテを盛るのをやめて、稼動・取り外しが出来る三つ編みを作ることにしました。
私が使用しているのがボーカロイドの髪のジャンクパーツなので、ヘッドセットなど細かい付属パーツがあるからこそ出来た技です。
こういった「利用出来るパーツ」があるのが、第1回で「正規品のコスパが一番良い」と書いた理由でもあります。
付属品でなくても、ガチャガチャのパーツであったりなど、プラ製のものなら使えます。
自力での簡単な作り方としては、爪楊枝やプラ棒を5~10mmの長さにカットして、エポキシパテに埋め込んで土台にすることです。
私はヘッドセットと思われる何かをカットして、三つ編みをパテ盛りして成形しました。
因みに、右の方の細かいゴミのようなものは、蟹のパーツです。
細かくて作りにくいものは、更に細かくても単純なパーツにしてから組み合わせると楽なので、参考までに。
ここから、向かって左側の短くした三つ編みを盛り付けるはずだったところに、ヘッドセットパーツのプラの差し込み棒に合う穴を、ピンバイスという穴開け器具で開けます。
差し込みます。
蟹もアロンアルファで組み合わせました。
ただ、アロンアルファはサーフェイサーなどをスプレーした時に溶け出す可能性が高いので、色を塗って最後の最後にくっつけた方が良いです。
ここから、ヘッドセット部分にパテを盛るか、溶きパテでちょっと盛りでやるかはお好みになりますが、私はそろそろ硬化を待つのが面倒になって来たので、溶きパテで適当に塗っておきましたw
まとめ
実際、ここまで造形が出来ていても、クオリティを追求していくと、完成までまだ半分くらいです。
改造は本当に手間がかかりますし、ここまでやってもなかなか「ちゃんと理想のキャラに近づいている」という実感が持てないんですよね。
サーフェイサーをスプレーすると、いい感じに「これは推しでは…!?」という感じになって来ますので、改造したい方は頑張ってみて下さい。
次回、最終回はこちら!
ここまでお読み頂き、ありがとうございました。