今回は「絵やイラストを上手く描きたい!」と思っている方向けに、ちょっとした勉強法のコツを書いていきたいと思います。
一応、私は芸術大学出身で、受験勉強としてはデッサンやデザイン画の勉強はしていました。まあ倍率が高過ぎて受かったのは文字を書く方ではあったのですが…
とりあえず、そんなレベルでのお話です。
芸術作品にルールはない、絵も自由
この記事を読んでいる方は、「絵が上手くなりたい」と思って読んでいると思うんですが、はてさて、「上手い絵」ってどんなのでしょう?
皆から評価されている絵?
それとも、自分が「上手い!」と思った絵でしょうか?
実は「上手い絵やイラスト」を描く勉強をする時、これが一番大事だったりします。
皆から評価されたい!と考えている方は、「評価される絵」を描かなくてはいけません。
逆に「自分で上手いと思っている絵」を描くなら、自分の独学で突き進んでOK。
勉強法は基本的に同じなんですが、結果が違うからです。
絵の勉強の基本は「模写」、上手く見えるためには「線」の練習をする!
パクリやトレパクを指摘されて大炎上するのが日常の昨今、「えっ」と思われた方もいると思いますが、説明していきます。
「習作」はがっつりパクって模写しよう
絵の基本はデッサン、と中学の美術の時間に習った方が大多数だとは思いますが、その本質は「模写」の勉強のためです。
有名な画家の贋作が出て来て、これは本物、これは偽物、と鑑定が必要なのは何故だと思いますか?
弟子や絵の練習をする人が、有名な絵を見て、模写して練習しているからです。
もちろん、がっつりパクった絵を「見て!これ自分が描きました!」と人に見せると怒られます。
ただ、こっそり練習したり、「練習のために模写してみた」と信頼出来る友達に見せる分には大丈夫だと思います。(友達が過激派でなければ…ですが…)
こっそり練習する分には一応トレースもOKなのですが、初心者であれば目で見て模写をする方が技術が鍛えられるのでオススメです。
実はこれをずっと行っていると、「見る力」も上がるので、センスも上がっていきます。
「線」を鍛える
絵が上手く見えるコツは「きれいな線」を引くことです。
初心者の方は一発では難しいので、「繋げて描いてから、あとで修正して一本の線にしよう!」と指導する方もいます。
もちろんそれでも良いのですが、一撃で自分の望む線を引けるようになった方が良いです。
ものすごくアナログな方式なのですが、いらない紙でも良いので「毎日、大きな紙に十字線を描く」というのが私の教えられた方法でした。
十字線を大きくまっすぐ描くのって、めちゃくちゃ難しいんですよ。
私も毎日デッサンをやっていた時は出来ましたが、今はちょっと出来ないですからね…
絵の基本的な勉強法は以上2つ
上記の2つを実践すると、まずアナログで描く絵は飛躍的に上手くなります。自分の手と、鉛筆と紙で描く絵ですね。
最初に「皆に評価される絵」なのか「自分が上手いと思う絵」なのかで結果が違うと書いたのは、要は「模写のお手本にする対象によって絵が変わる」からです。
可愛いミニキャラや動物のデフォルメを描きたい人は、サンリオ系の可愛い絵や、子ども向けの文房具の絵柄なんかを模写すると良いです。
漫画系のイラストを描きたい!という方は、「こういう絵になりたい!」という人の絵を模写していきましょう。
数をこなせば、すごいスピードで上達していきます。
模写をたくさんすると、絵やデザインを「見る力」も上がっていきますので、後々、自分で絵を描く時に必要なセンスも上がっていきます。
デッサンは勉強しなくて良い?
結論だけいえば勉強した方が良いのですが、ちょっと説明してきます。
デッサンで鍛えられる力
先に書いた勉強法で鍛えられるものは、単純に「見栄えの良い絵を描けるようになる」という方法です。
絵の基本であるデッサンが何を鍛える力なのかといえば、「目」です。
平面のイラストであれば単純に模写でOKで、影の入れ方も、似たような構図であったり、色々な絵を模写して数をこなせば描けるようになるでしょう。
しかし、自分のオリジナルの絵柄で、自分だけが考えたキャラクターや特殊なポーズを描こうと思った時、模写の技術だけでは対応することが出来ません。
デッサンをしていれば、これを描くための「目」の技術が上がります。
描くものがどういう形をしていて、どういう質感で、影はどこにどういう風に落ちるのか、人間ならば関節の可動域は?とか、この素材のぬいぐるみを抱いた時にどんな感じになるのか?とか。
金属製のものと人間の肌ではハイライトが違いますし、見た目も「硬そう」「柔らかそう」という質感の描き方も違って来ます。
要は、「絵にリアルさを出す工夫をする力」とでもいいましょうか。
ぶっちゃけ、無理に石膏像や人間をデッサンする必要はありません。
私の高校の時の美術の先生からは「受験では何が出るか分からないから色々描くしかないが、本来はドアの絵を描きたければドアのデッサンだけその時にしとけばいい。俺はそうしてる。」という名言(迷言?)を頂きました。
これも、木のドアと金属のドアでは全く違いますからね。
要は「描きたいものを、その時にデッサンすればいい」ということなんです。
デッサンは必要ない絵もある
ここでも「上手い絵とは何か?」が問題になって来ますね。
ゴッホは浮世絵を見て「絵に影がないなんて、日本はきっとものすごく明るい国なんだ!」と思ったという話がありますが、浮世絵は影を描かない技法ですよね。
逆に天才といわれる葛飾北斎は、目があまりにも良過ぎて、波の割れる瞬間の絵など、常人の見ることの出来ないものを描いていたとされています。
もしも、自分の描きたい「上手い絵」が、基本の技法と全く違っていたらどうでしょう?
例えばマトリョーシカをモチーフにした、手足のないキャラクターを動かそうとした時、デッサンって必要だと思いますか?
手足の可動域も考えなくて良いし、線さえ綺麗に引ければ、あと練習するとしたら表情の描き分けくらいかな?とか思いません?
私も、デッサンという単語すら聞いたこともない時から、何か可愛いリンゴとかみかんが活躍する漫画描いてましたからね。
結論:無理に「デッサンだけ」をやる必要はないが、やっておくと技術レベルはめちゃくちゃ上がる
本格的に絵を描きたいのであれば、デッサンはやるべきです。
絵の技術のレベルが変わりますし、見たものをしっかり描ける技術があれば、どんな絵にも活かすことが出来るようになります。
ただ、ことイラストに関していえば、無理に「デッサンだけ」をやる必要はありません。
「人の手が上手く描けないな~」という時は手のデッサンをすれば良いですし、「猫を描きたいな~」という時は猫の画像を探して猫をデッサンすればOKです。
「見て」「描く」というのが自然に身につけば、絵は必ず上達します。
デジタルイラストに関して
この辺りは、今、私も勉強中なのでしっかりと説明出来ませんが、少しだけ書いていきますね。
基本的にアナログと練習方法は全く変わらないのですが、「思い通りの線を引けること」が最初の難関かな?と思います。
まず、「線を引く」ツールは全部把握しましょう。描きながら覚えるのもアリはアリですが、数をこなさないと全然分かりませんので、マニュアルや検索して調べた方が早いです。
図形ツールも描ける形が違うはずなので、使い方を把握しましょう。
ペンタブレットなどを使う場合、線の強弱などは数をこなして自分で感覚を掴むしかありませんが、図形ツールを駆使してペイントソフトで絵を描くことも可能です。
本格的に絵を描きたいなら、ソフトは「CLIP STUDIO PAINT PRO」がおすすめです。私も使っています。
今はiPad版も出ていますし、Photoshopなどの画像ソフトに比べるとめちゃくちゃ安い上、ノウハウ本なども大量に出ています。
買うのは通販よりは本屋で中身を見て、自分に合ったノウハウ本を買う方が良いですね。
アニメ絵を描くためのソフトと思われがちですが、「フォトバッシュ」という写真を絵に加工する技術にも使えます。
もちろん手間や技術は必要ですが、「写真を加工して絵を描く」というのは、色々なことに使えそうですね。
デジタル絵に関しては、ぶっちゃけて6割くらいは「ツールを理解する」でかなり描けるようになると思います。めっちゃくちゃ便利なんですよ。3Dモデルとかありますもん。
あとは「線を思い通りに引けるようになる」が1割~2割です。
上手な絵を描く=手を絵に慣れさせて、綺麗な線を引く
アナログでもデジタルでも同じなのですが、まずは「絵を描くことに慣れる」というのが必要です。
絵が上手い人に上達の秘訣を聞くと「たくさん描こう」という答えが返ってくると思うのですが、それを分解すると、これまで書いた内容になります。
要は「数をこなして線を綺麗に引けるようにする」のが、見栄えの良い「上手い絵」を描く一番最初のステップなんですよ。
次は「綺麗な線で色んな絵が描けるようにする」ということです。
構図を考えたり、ポーズを考えたり、皆さんこちらの勉強から入る方が多いのですが、まずは「綺麗な線」です。
デジタルイラストだと、色をつけるとごまかせる面もあります。
この「慣れ」に関してはノートの隅の落書きでも鍛えられていきますので、「とにかく数を描こう」が正解なんですよね…
数を描けば描くほど、どんどん上手くなりますし、描く速度もどんどん上がります。
逆にいえば、これに「楽しさ」を見出せない人は、絵を描くのには向いていないかもしれません。
私は絵を描くのは「1人SM」だと思っています。
上手く描けないと苦しくて、試行錯誤する時間があり。
上手く描けた時に「イヤッホォオオオイ!」ってなるんですよ。
まとめ
私も最近まであまり絵を描いておらず、また、新しくデジタル絵に挑戦しているので、今は四苦八苦の状態です。
「描き方」は人によって千差万別なのですが、技術を向上させる考え方として、今回の記事が参考になれば幸いです。
ここまでお読み頂いて、ありがとうございました!